友引に通夜・葬儀・四十九日を行ってもOK?六曜と通夜の関係

2021年5月21日 法事・法要
友引に通夜・葬儀・四十九日を行ってもOK?六曜と通夜の関係

友引は六曜の一つであり、暦注としてカレンダーで目にすることが多いのではないでしょうか。

本来、友引と葬儀との関係はありません。しかし「友を引く」という字面から、縁起・日和を気にする人の中には、友引の弔事を嫌がる人が一定数います。また、友引の葬儀は避けたいと考えても、不幸が起こるタイミングは誰にも予想できません。

今回は、友引と弔事との関係、友引・友引付近で通夜・葬儀を行う際に知っておくべきポイントを解説します。六曜の概要も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

 

1.友引に通夜・葬儀・四十九日法要を行ってもよい?

「友引」は中国から伝わった「六曜」の一つであり、仏教とは関係がありません。六曜は、カレンダーや手帳に記載されていることも多いため、無意識のうちに目にする機会が多い暦注です。

「友引」は元々「共引」という漢字が使われており、「勝負事で決着が付かず引き分ける」といった意味がありました。一方で、同じく中国から伝わった陰陽道にも「友引」と呼ばれる日・方角があり、陰陽道における友引は「悪いことを引き寄せる」「親しい人に凶事が向かう」といった意味を持ちます。

現在では、六曜の「共引」も「友引」として表記することが一般的です。そのため「友引」の日の葬儀は「故人の霊が親しくしていた人の魂をあの世に連れ去る」という迷信が残り、全国各地で避ける慣習が続いています。

 

1-1.通夜の場合

通夜の場合は、友引に行っても問題ありません。

通夜は、故人と別れる日ではなく「故人との別れを惜しみ思い出を偲ぶ場」です。一般的に、友引で「友の魂を引き連れて行く」と心配されるときは、火葬されてこの世の肉体に別れを告げるときとされています。

そのため、故人とこの世をつなぐ肉体が残っている通夜の日は、友が引かれるときには該当しません。

ただし通夜は、基本的に葬儀とセットで日程を組まなければならないため、注意が必要です。友引の日には葬儀を行わないよう調整する人が多いことから、友引の日前後には火葬場の予約が取りづらくなる傾向にあります。

通夜の日程は六曜の吉凶に影響されず、気にする人も少ないため、葬儀の日程を先に決めましょう。

 

1-2.葬儀の場合

葬儀(告別式)の場合は、友引に行わないほうがよいとされます。

友引は仏教の教えに由来するものではないとはいえ、「友引の日に葬儀を行うのは縁起が悪い」と考える人は一定数存在します。さまざまな年代・考え方の人が参列する葬儀では、基本的に友引の日を避けたほうが無難です。

ただし現代では、限られた人しか出席しない家族葬や直葬などが広まっており、宗教的感覚が薄い人も珍しくありません。そのため、友引に葬儀を行うことに対して、そこまで気にしない人も増えている状況です。

元々仏教との関連性もないことから、親戚や参列者の理解を得られるようであれば無理に友引の日を避けなくてもよいでしょう。

 

1-3.四十九日法要の場合

初七日・四十九日法要・一周忌などの法事の場合は、友引の日に行っても問題ありません。

四十九日の法要は、故人の命日から「49日後」に行われる法要です。日程の調整上前倒しされることはあるものの、六曜とは関係なく催されるため、縁起を気にする必要は全くありません。

法要を行う際は、参加を希望する人が少しでも多く集まれる日を選ぶなど、参列者の都合を優先しましょう。

 

2.そもそも六曜とは?

六曜とは、以下の「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つからなる、日の吉凶を占う日柄です。

種類 各六曜の意味・冠婚葬祭との関係性
先勝 対応月:1月・7月 読み方:せんしょう・さきがち・せんがち
先勝は、午前中に勝負事や慶事を済ませるとよい日とされます。勝負事に対する占いであるため、葬式に関しては問題ありません。 

ただし、翌日が友引となるため、通夜を行うことは避けたほうがよいでしょう。

友引 対応月:2月・8月 読み方:ともびき・ゆういん
友引は、「親しい人を引き込む」日とされます。そのため、慶事の日取りには吉日となるものの、葬式の日取りには忌み日として避けられることが多く、火葬場も休館日となる傾向です。 

通夜の日取りとしては問題ありません。

先負 対応月:3月・9月 読み方:せんぶ・せんぷ・さきまけ・さきおい・せんまけ

先負は、午前中に何かを起こすとよくないとされる日です。先勝と同じく勝負事に対する占いであるため、通夜や葬式の日取りとして問題ありません。

仏滅 対応月:4月・10月 読み方:ぶつめつ

仏滅は、何事も上手くいかず慶事には向かない日とされます。ただし、悪縁を切るには向く日ともされ、通夜や葬式の日取りとしては問題ありません。

大安 対応月:5月・11月 読み方:たいあん・だいあん

大安は、特に行動の制約がない日です。通夜や葬式を行っても問題ありません。

赤口 対応月:6月・12月 読み方:しゃっく・しゃっこう・せきぐち

赤口は、赤が日や血を連想させることもあり、何かを始めたり慶事を行ったりするには、向かないとされる日です。通夜や葬式の日取りとしては問題ありません。

六曜の並び自体は固定されているものの、旧暦で1日が来る度にリセットされ、その月に該当する六曜の種類から再び進みます。

 

3.友引・友引付近で通夜・葬儀を行う際に知っておくべきポイント

通夜・葬儀の日程を組む際、逝去日に通夜、翌日に葬儀を行うケースが一般的です。しかし、地域によっては葬儀の前に火葬を済ませる場合や、通夜を逝去日ではなく翌日に行い「仮通夜→本通夜→葬儀」と進める場合もあります。

参列者の多くが地域の人であり、今後も付き合いが続くことを考えれば、地域の慣習に従って通夜・葬儀日程を決めることが大切です。

ここでは、友引の付近で通夜や葬儀を行う際に、地域の慣習や葬儀マナーを踏まえたうえで押さえるべきポイントを3つ解説します。

 

3-1.友引は火葬場が休みの場合がある

年中無休で対応する火葬場もあるものの、定休日を設けている火葬場は、友引の日に定休日を合わせるケースが多く見られます。また、友引の葬儀を避けたいと考える人は多いことから、友引前後の日は火葬場が混み合う傾向です。

葬儀の日取りは、火葬場の空き具合によって決まります。一般的に通夜の翌日に葬儀・火葬を行うことが多いため、火葬場に空きがなければ葬儀は上げられません。

そのため葬儀の際は、初めに火葬場の状況を確認することが重要です。

 

3-2.通夜は先勝を避けるとよい

友引の葬儀を避けたい場合は、通夜で「先勝」を避けましょう。

六曜の巡る順番は決まっているため、先勝の翌日は友引となるケースがほとんどです。通夜は基本的にどの日程(六曜)でも行ってよいため、先勝以外の日を通夜にすれば友引の葬儀を避けやすくなります。

ただし、旧暦の2・8月の1日は必ず友引となるため、注意が必要です。葬儀の日取りに六曜を気にする人は、カレンダーなどで友引の該当日を確認しましょう。

また、葬儀会社に「友引を避けたい」と相談すれば、担当者に別日を手配してもらえます。

 

3-3.友引に葬儀を行う際は友引人形を入れるとよい

友引にしか葬儀を行えない場合や、参列者に友引を気にする人がいる場合は、友引人形を入れるとよいでしょう。友引人形とは友人形とも呼ばれ、友の代わりに連れて行ってもらうよう、故人の棺に入れる身代わり人形のことです。

主に関西の風習であり、友引の葬儀や立て続けに親族が逝去した場合に使用されます。友引人形の形や種類に決まりはなく、人を模した形であればどのような人形でも構いません。

故人が気に入っていた人形があれば、一緒に送ってあげてはいかがでしょうか。

 

まとめ

陰陽道の考え方である六曜の友引は、仏教の葬儀とは本来関係がありません。そのため、友引だけでなく、どの日が当たっても通夜や葬儀に影響はないといえます。

ただし、友引の日は火葬場が休みであることが多くあります。友引付近で通夜・葬儀を行う際は、火葬場の空き状況を確認することが大切です。また、参列者に友引を気にする人がいる場合は、友引人形を入れるとよいでしょう。

地域によって通夜・葬儀の流れや日取りへのこだわりが異なるため、葬儀の際はまず地域の慣習・しきたりを確認してください。