戒名とは?構造する4つの号の意味・宗派による違いや費用も

2021年3月26日 葬儀の準備
戒名とは?構造する4つの号の意味・宗派による違いや費用も

葬儀を行うにあたり、戒名の必要性や意味に疑問を持つ人は少なくありません。また、近年では、生前に葬儀の手配を済ませておく人も増えているため、戒名の知識を身に付けておきたいと考える人も多く見られます。

戒名を付けるためには、戒名の基本知識を理解することが大切です。

そこで今回は、「戒名を付ける理由」「各宗派における戒名の特徴」について解説します。戒名を付ける際にかかる費用相場もまとめているため、戒名を付ける流れや必要な費用について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

1.戒名とは

戒名とは、仏弟子となった証として与えられる名前です。つまり、「戒名=仏門に入ったことを意味する名前」と言えます。戒名は故人に対して付けるものと解釈されることもありますが、本来は生前に与えられるものです。

元々は、出家者にだけ戒名を与えられていました。しかし、出家していない人でも迷いなく極楽浄土に行けるように、現世の名前ではなく戒名を付けるという風習が続いています。

戒名は、原則として菩提寺の住職から授かることが特徴です。他の僧侶による戒名は、菩提寺から拒否されることも少なくありません。与えられた戒名は、位牌や墓石に刻まれるだけでなく、葬儀や年忌法要でお経を唱えてもらう際に読み上げられることもあります。

1-1.戒名を付ける理由

仏式の葬儀を行うためには、仏教徒としての戒名が必須です。仏教では、俗名ではなく戒名で葬儀を行うことで極楽浄土に導かれると考えられています。

葬儀や納骨をスムーズに行うためには、菩提寺のルールに従うことが大切です。菩提寺がわからない際は、仏壇にあるご先祖様の位牌に使われている漢字から宗派を調べたり、親族に相談したりしましょう。

仏弟子となった証を「法名」「法号」と表す宗派もあります。宗派によっては、戒名を付けなくても葬儀を行うことが可能です。

2.戒名を構成する4つの号の意味・特徴

戒名の位は、菩提寺や地域社会への貢献度など、故人の生前の生き方によって決まります。

ただし、仏教の教えに戒名の位付けはありません。戒名に付けられる位は、あくまで故人の信仰心や人柄を表すものです。先祖と同じ墓や夫婦で同じ墓に入る際は、戒名の位を揃えます。

戒名の位を理解するためには、戒名の種類や漢字の意味を知ることがポイントです。ここからは、戒名を構成する「号・戒名の意味と特徴」や、「よく使われる文字・使うべきではない文字」について詳しく解説します。

2-1.院号・院殿号

院号は、皇族や貴族、社会的貢献度が高い人に与えられる位です。戒名の始まりとなることがあり、「○○院」と表します。

院殿号は、院号の次の位となる戒名です。しかし、院号を使う人に比べて院殿号を使う人が少ないことから、戒名のなかで事実上最高位とされています。院号と同様に、戒名の始まりに「○○院殿」と表すことが特徴です。

院号・院殿号は、すべての人に付くものではありません。院号・院殿号が付かない戒名も数多くあります。

2-2.道号

道号は、悟りを開いた者に与えられる称号です。院号・院殿号が付いていなければ、道号が戒名の始まりとなります。

現代では、故人の人柄や性格を連想させる部分として解釈されるため、故人の特徴と戒名のバランスを取りながら付けることが一般的です。ただし、水子・幼児・未成年者には、道号を付けません。

道号は、院号・院殿号に比べて自由度は高いものの、ふさわしくない文字もいくつかあります。

道号によく使われる文字と使うべきではない文字は、下記のとおりです。

〇道号によく使われる文字
  • 場所を表す文字…海・山・峯
  • 人や性格を表す文字…光・老・翁
  • 住居を表す文字…殿・宅・斎
〇道号に使うべきではない文字
  • 縁起が悪いもの…死・病・狂
  • 縁起が良いもの…祝・鶴・笑

2-3.戒名

一般的に、位牌や墓石に刻まれる約10文字を合わせて戒名と呼びますが、本来の戒名は道号の次に続く2文字を示します。4つの構造の1つである戒名は、仏の世界における呼び名です。

戒名には、現世での名前から1文字、仏様や経典から1文字取って付けます。他にも、下記から文字を選ぶことも可能です。

  • 先祖代々受け継いでいる文字
  • 師匠や尊敬する人に通じる文字
  • 生前の職業を連想させる文字

ただし、下記の文字は戒名に使うことができないため注意しましょう。

〇戒名に使うべきではない文字
  • 天皇家や著名人の名前を連想させる文字
  • 不吉なことを連想させる文字
  • 読む際に響きが悪い文字 (阿奉(あほう)・円満…(えんま)等)

2-4.位号

位号は、戒名の最後に付く尊称です。成人は、性別・年齢・社会的貢献度・信仰心・社会的地位によって位が決まります。成人の位号の順位は、下記のとおりです。

男性 大居士→居士→禅定門→清信士→信士
女性 清大姉→大姉→禅定尼→清信女→信女

なお、水子・幼児・未成年者には、性別と年齢に応じて位号が付けられます。
水子から未成年者に付けられる位号は、下記のとおりです。

男児 15歳ぐらいまで:童子→大童子→禅童子
4~5歳以下:幼児→嬰児→孩児
女児 15歳ぐらいまで:童女・大童女・禅童女
4~5歳以下:幼女→嬰女→孩女
水子・乳児 水子

3.各宗派における戒名の特徴

戒名の大枠は同じでも、各宗派によって戒名の付け方には違いがあります。まずは、故人や自身の宗派を確認したうえで、戒名の特徴や付け方をチェックしてみましょう。

ここからは、各宗派における戒名の特徴について解説します。

〇真言宗
真言宗の戒名には、大日如来の弟子であるという意味で、戒名の1文字目に大日如来を意味する「アの梵字」が使われることが特徴です。ただし、幼児の戒名には地蔵菩薩を意味する「カの梵字」が入ります。
<戒名の構成>梵字→院号→道号→戒名→位号
〇浄土宗
浄土宗の戒名には、念仏の教えを受けた証として「誉」の文字が与えられます。菩提寺によっては、道号が付かずに院号の下に誉号が付くこともあるでしょう。白木位牌の1文字目に、阿弥陀如来を意味する「キリークの梵字」を使うことがあります。
<戒名の構成>院号→道号→誉号→戒名→位号
〇浄土真宗
浄土真宗では、仏弟子となった証として「法名」が与えられることが特徴です。他宗派にある道号はなく、法名の上に釈(釋)号が入ります。また、阿弥陀如来の教えに基づき、浄土真宗では位号を付けません。
<戒名の構成>院号→釈号→法名
〇日蓮宗
日蓮宗では、戒名ではなく「法号(日号)」を与えられます。法号には、「日」の文字が入ることが特徴です。また、道号には、男性は「法」女性は「妙」の冠字が入ります。
<戒名の構成>院号→道号→法号→位号
〇天台宗
天台宗の戒名には、白木位牌の1文字目に大日如来を意味する「ア号の梵字」または阿弥陀如来を表す「キリークの梵字」が使われることが一般的です。
<戒名の構成>院号→道号→戒名→位号
〇曹洞宗・臨済宗
曹洞宗・臨済宗の戒名は、白木位牌の1文字目に上文字として「新帰元」と記されます。新帰元とは、「現世の務めを終えあの世に帰る」という意味です。
<戒名の構成>院号→道号→戒名→位号

白木位牌に入る梵字・冠字・上文字は、本位牌に改める際には記入しません。ただし、真言宗のみ梵字と位を残したまま戒名を記入することが特徴です。

4.戒名を付ける際にかかる費用相場

戒名を付ける際は、約30万~50万円が必要となります。お布施の金額によって付けてもらえる戒名の位も変わるため、まずは戒名の位ごとの費用相場をチェックしておきましょう。なお、「戒名料不要」「お布施の金額は定額」と決められている菩提寺もあります。

戒名の位ごとのお布施費用相場は、下記のとおりです。

戒名の位 お布施の費用相場
信士・信女約10万~50万円
居士・大姉約50万~80万円
院号・法院号100万円以上

現代では、仏教や菩提寺との関係性が薄くなっていることもあり、戒名の位にこだわらない人も増えています。「信士・信女」のお布施費用相場が低くなっていますが、「信士・信女」は一般の人に与えられることが多い位です。

戒名を付ける際には、故人や自身の考えを尊重しつつ決める必要があります。

まとめ

仏式の葬儀を行う際には、仏教徒の証である戒名が必須です。戒名は、位牌や墓石に刻まれたりお経を唱えてもらう際に読まれたりします。宗派によって葬儀における戒名の有無や特徴が異なるため、まずは故人や自身の宗派の特徴を調べることが大切です。

戒名を与えてもらうためには、菩提寺へお布施を納める必要があります。費用相場は戒名の位によって異なることが一般的です。費用や宗派ごとの特徴を理解したうえで、故人や自身にふさわしい戒名を決めましょう。